会計・税務

減資と欠損填補に係る会計・税務

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減資とは

減資は、資本金を減少させる行為を指します。
この減資には、「有償減資」と「無償減資」の2つがあります。

有償減資

株主へ金銭を交付することで資本金を減少させることを「有償減資」といいます。

(会計上の仕訳)
(借)資本金  1,000 / (貸)現金             600
             / (貸)資本金及び資本準備金減少差益 400

無償減資

株主へ金銭を交付することなく、資本金を減少させることを「無償減資」といいます。

(会計上の仕訳)
(借)資本金  1,000 / (貸)資本金及び資本準備金減少差益 1,000

無償減資と欠損填補

会社が過去の赤字で計上した繰越利益剰余金などの利益剰余金のマイナス金額を、資本金の減資によって補填するケースは実務上、行われています。
通常、資本金および資本準備金と、利益剰余金は、性質が異なることから、両者を混同してはいけない、とされています。ただし、欠損填補のために利益剰余金のマイナスとその他資本剰余金を相殺することは、企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」第61項において、「負の残高になった利益剰余金を、将来の利益を待たずにその他資本剰余金で補うのは、払込資本に生じている毀損を事実として認識するものであり、払込資本と留保利益の区分の問題にはあたらないと考えられる。」とされており、認められています。

(会計上の仕訳)
(借)資本金及び資本準備金減少差益 600 / (貸)利益剰余金  600

税務上の取り扱い

有償減資は、実際に株主へ金銭を払い込むため、税務上資本金等の金額を減少させることができます。
一方で、無償減資については、金銭の払い込みがないことから、無償減資自体がなかったものとされ、資本金等の減少は認められません(なお、外形標準課税の対象を判定する資本金の額の減少は認められます)。

なお、無償減資の場合、平成27年度税制改正がにより、法人住民税の均等割を計算する際においては、減資から1年以内に欠損填補に当てた金額を資本金等の額から差し引くことができるようになりました。そのため、法人事業税における外形標準課税、及び法人住民税における均等割の計算においては、無償減資による欠損填補の金額を考慮するのを忘れないようにしましょう。

無償減資の手続

無償減資を行う場合、下記の手続きを経て無償減資を行う必要があります。

①株主総会の決議
②債権者保護手続
③登記
④税務署等への届け出

①株主総会の決議

通常、資本金を減少し、その他資本剰余金に計上する場合には、会社法447条に規定される要件を満たす必要があります。ここでいう株主総会の決議とは、特別決議を指します。

(資本金の額の減少)
第四百四十七条 株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する資本金の額
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
2 前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。

一方、欠損填補のために無償減資をする場合、会社法452条に規定する手続きで足ります。
ここでいう株主総会の決議とは、普通決議を指します。

第四百五十二条 株式会社は、株主総会の決議によって、損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分(前目に定めるもの及び剰余金の配当その他株式会社の財産を処分するものを除く。)をすることができる。この場合においては、当該剰余金の処分の額その他の法務省令で定める事項を定めなければならない。

そのため、欠損填補のみをするために、資本金を取り崩す場合、株主総会は普通決議で問題ありません。

②債権者保護手続

株主総会の決議を終えてから2週間以内に、「官報による減資広告」と取引先、金融機関等の「知れたる債権者への個別通告」が必要になります。

③登記

債権者保護手続を行ってから1か月経過後、株主総会の決議で定めた減資の効力発生日から2週間以内に登記手続をする必要があります。

④税務署への届け出

資本金の額が変動するため、異動届を税務署、都道府県税事務所(東京23区以外の場合、市役所も)へ提出します。

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